NPO法人 (その3)

認定制度・仮認定制度の導入

認定基準

認定NPO法人になるためには、次の1.~8.の全てを満たすことと欠格事由に該当しないという、合計9つの要件をクリアすることが必須です。

  1. 実績判定期間において、パブリック・サポート・テスト(PST)を満たしていること。
  2. 実績判定期間において、事業活動における共益的な活動の占める割合が、50%未満であること。
  3. 運営組織及び経理が適切であること。
  4. 事業活動の内容が適切であること。
  5. 情報公開を適切に行っていること。
  6. 設立の日から1年を超える期間が経過し、少なくとも2つの事業年度を終えていること。
  7. 不正行為に関する基準として、以下のような事実がないこと。
    ア. 法令または法令に基づいてする行政庁の処分に違反する事実
    イ. 偽りや不正の行為によって利益を得た事実または得ようとした事実
    ウ. 公益に反する事実
  8. 設立後の経過期間に関する基準として、次のようなことが定められている。
    ●設立したばかりで実績のない法人は認定されないこと。
    ●認定または仮認定の申請をした年度の初日において、設立の日から1年を超える期間が経過していること。

<欠格事由>
次の欠格事由にいずれにも該当してはいけません。

  1. NPO法第47条に規定された役員の欠格事由に該当する役員がいる
  2. 認定または仮認定を取り消され、その取り消しの日から5年を経過していない
  3. 定款または事業計画書の内容が法令に違反している
  4. 国税または地方税の滞納処分が執行されているものまたは当該滞納処分の終了の日から3年を経過していないもの
  5. 国税に係る重加算税または地方税に係る重加算税を課された日から3年を経過していない
  6. 暴力団または暴力団の構成員等の統制下にある法人

パブリック・サポート・テスト(PST)とは

NPO法人が、広く市民から支援を受けているかどうかを、判定するための基準です。

具体的には、次の1.~3.のどれか一つに該当すれば良いとされています。

  1. 相対値基準PST
    実績判定期間において
    ( 寄付金等収入金額 / 経常収入金額 ) ≧ 基準値 (1/5)
  2. 絶対値基準PST
    実績判定期間において、各事業年度に3,000円以上の寄附を平均100人以上から受け取ること
  3. 条例個別指定PST
    申請日の前日までに、主たる事務所または従たる事務所が所在する都道府県または市町村から、寄附金を受け入れた場合に個人住民税の控除対象となる法人として条例で個別指定を受けていること

仮認定制度とは

設立初期のNPO法人、特に設立後5年以内の法人については、財政基盤が脆弱な法人が多いという事実を踏まえて、1回限り、スタートアップ支援として、PST基準を免除した仮認定(有効期間3年間)により税制優遇を受けられる制度です。

認定NPO法人に対する監督規定の整備

所轄庁は、必要に応じて、監督権限に基づき、報告聴取及び立ち入り検査、勧告、命令、認定取り消しを行うことができるとされました。

また、「その他の事業」から生じた利益が、「特定非営利活動に係る事業」に確実に充てられることを担保するため、必要に応じて、「その他の事業」の停止を命ずることもできるとされています。

2以上の都道府県の区域内に事務所を設置する認定NPO法人について、所轄庁による監督を補完するため、所轄庁以外の関係知事も、当該都道府県内において、一定の監督権限として、報告聴取及び検査、勧告、命令を行うことができるとされました。

合わせて、所轄庁と所轄庁以外の関係知事が、国税当局、警察等の関係機関と連携して監督できるよう、関連情報の通知などの仕組みも設けられました。

従たる事務所所在地の関係知事の権限

従たる事務所所在地の関係知事は、認定NPO法人の従たる事務所を対象として、所轄庁同様、監督権限として、報告聴取及び検査、勧告、命令を行うことができるとされています。

従たる事務所所在地の関係知事は、認定NPO法人が命令に従わなかった場合その他の場合で当該法人に適当な措置を採ることが必要と認めるときは、所轄庁に対し、意見を述べることができるとされました。

所轄庁は、認定事務に関して特に必要があると認めるときは、従たる事務所所在地の関係知事が採るべき措置について要請できることとされています。

所轄庁の変更

NPO法人関連の事務は、地方自治体で一元的に実施することとされました。具体的には、以下のとおりです。

  • 2以上の都道府県に事務所を置く法人については、内閣府から主たる事務所の所在地の都道府県に、また、1の政令指定都市の区域のみに事務所を置く法人については、都道府県から政令指定都市に、それぞれ所轄庁が変更になりました。
  • 認定事務も、地方自治体で実施することとし、従来の国税庁による認定制度は、廃止されました。

これらの変更は、事前相談、認証・認定事務やきめ細かい監督が一元的に行われ、自治体とNPO法人が協働しやすくなるという効果を生んでいます。

行政書士にご相談ください!

以上、平成24年4月に施行された、いわゆる「改正NPO法」のポイントを概観していただきましたが、NPO法人の設立や維持・管理などに関する一連の細かい手続きや書類作成については、これらに精通している行政書士にぜひご相談ください。