全5回シリーズの本年度支部研修会、完了

1. 第5回支部研修会が開かれる

2月15日(木)午後6時15分から、ふじみ野市産業文化センター第2会議室で、第5回の支部研修会が開かれました。平成29年度支部研修会の最終回と位置付けられました。

当日の参加者は、講師も含めて、14名でした。参加者の中に、1名、東入間支部会員以外で、支部管内でFPの資格で業務展開されている方が加わられました。

今年度支部研修会最終回のテーマは、「成年後見制度の基礎5」として、「成年後見制度の周辺分野:家族信託の検討」とされました。

講師は、支部会員で司法書士も兼業されている森田和彦会員が担当されました。同会員は、リーガルサポートのメンバーでもあり、既に相当数の後見を受託された経験をお持ちです。

森田和彦講師

森田講師に用意していただいた講義資料は、2種類でした。

そのうち、メインの講義資料は、A4サイズの表裏7ページの「成年後見制度の周辺分野:家族信託の検討」です。

もう一つは、最高裁判所が「家庭裁判所」のクレジットのもとで、平成23年12月に発行されたリーフレット、A4サイズ4ページもの、『後見制度において利用する信託の概要』~ご本人の財産の適切な管理・利用のための後見制度支援信託のご説明~、のコピー冊子でした。

2. 成年後見制度との関係で利用される家族信託とは

講義は、まず、「1 信託とは」という話から入られました。言葉の意味として、「信託法上の定義」を噛み砕いて解説されました。

その際、「投資信託」などの「商事信託」と、「家族信託」といった「民事信託」とは、相対峙する概念であることに言及されました。

次に、「2 信託の仕組みとその特徴」として、「信託に出てくる立場の違う三者」に触れられました。「委託者」「受託者」「受益者」の三者が存在することを示された上で、「信託財産」を巡る三者の関係性を模式図で表示されて、さらに加えて実例を挙げられながら、受講者に分かりやすく説明されました。

それに続けて、「三者が二者となるケース」、また、「委託者等が複数人である場合」の細かい解説を加えられました。

研修会冒頭の前田淸海支部長の挨拶

特に、受講者にとって初めての分野の諸々の概念を理解する上で、大変助けられたのは、講義資料に掲載されている「信託のパターン一覧表」でした。

AからNまでの15のケースを分類され、それぞれについて、「委託者」「受託者」「受益者」の当て嵌めをした上で、それぞれのケースの形態を、現実の実例に沿って、解説を付け加えていただいたのは、これから実務に取り組もうとしている受講者たちにとって、理解を深めるのに大きな助けになりました。

3. 信託特有の概念に触れて

続けて、「3 信託違反」「4 信託財産の所有者」「5 委託者は何ができるか」「6 受託者は何ができるか」「7 受益者は何ができるか」と、より深く、「信託」を掘り下げるお話が続けられました。

さらには、「8 他の財産管理との比較」「9 様々な信託のスキーム」として、受講者が既に知識として保有しているであろう「制度」や「法律概念」などと関連付けて、「家族信託」の周辺知識を確認的に説明いただきました。

講義の纏めでは、「家庭裁判所」発行のコピー冊子、『後見制度において利用する信託の概要』を参照されながら、付加的に、後見制度支援信託を解説いただきました。

4. 数次相続の実例で参加型研修スタイルに

今回の講義の途中で、後見からちょっと離れて、森田講師が受託業務として現に経験された“数次相続”の実例について紹介されるとともに、講師から受講者に対して、大勢になった法定相続人の中で、相続放棄をした人も複数あり、果たして「最終的に、誰々が相続することになるのか?」、といった難しい問い掛けがありました。

白板いっぱいに相続関係図が・・・

大変入り組んだ相続案件で、複数の受講者が、講師の指名を受けて、自らの考えを示したことを踏まえて、講師の実際の対応が紹介されて、受講者たちからは、「えっ!」という驚きの声や「うーん!」といった感嘆の声が上がり、会場内は大いに盛り上がりました。これも、今回の研修会のプラスの成果だったといっても過言ではなかった、と受け止めています。

休憩を挟んで、延2時間45分に及んだ支部研修会の最終回も、参加者全員が和気藹々、お互いに満足感を共有できた良い機会でした。

前田支部長の冒頭挨拶にもあった、来年度の支部研修会の“ステージアップ”に繋がっていくことを期待したいと思います。